バッタ科
バッタ類は、多くの人が「バッタ」と聞いてまず思い浮かべるグループである。直翅目の中でも中型から大型の種類が多く、低草地の草原に生息するものが一般的だ。しかし、半裸地や礫河原といった、より特殊な環境に適応した種も存在する。身近な場所で観察でき、丈夫で飼育も容易な種類が多いことから、直翅目の昆虫への入門として最適なグループと言えるだろう。分類学的には、トノサマバッタ亜科、ヒナバッタ亜科、ショウリョウバッタ亜科、イナゴ亜科、ツチイナゴ亜科、セグロイナゴ亜科、ヒゲマダライナゴ亜科、アカアシホソバッタ亜科、フキバッタ亜科など、多くの亜科に分けられる。それぞれの亜科には、多様な形態や生態を持つ種が含まれており、観察する際には、これらの分類学的特徴にも注目していただきたい。バッタ類の多様性と、それぞれの種が持つ特異な環境への適応は、研究者や愛好家を魅了し続けている。彼らの生息地を探し求め、観察し、時には飼育を通して、その魅力を深く知ることができるだろう。
オンブバッタ科
小型のバッタの一種で、ショウリョウバッタを小型にしたような体型をしている。そのため、ショウリョウバッタと間違われることも多いが、よく観察すれば識別できる程度の差異は存在する。本種は、オスがメスを占有する習性があり、オスがメスの背中に乗っている様子が頻繁に観察される。これは、本種の大きな特徴の一つと言えるだろう。なお、バッタ科とは異なり、イネ科植物をあまり好んで摂食しない点が挙げられる。
ノミバッタ科
体長は5mm前後と小型のバッタであるが、特筆すべき生態的特徴を複数有する。その一つとして、胴体に対して後脚が著しく発達しており、水面から垂直に飛び跳ねるほどの跳躍力を備えている点が挙げられる。湿潤な環境を好み、土壌を用いてドーム状の巣穴を構築するが、複数の個体が同居して生活する社会性も示す。日本には5種が生息し、そのうち3種が本土に分布する。
ヒシバッタ科
体長は約10mmと小型のバッタであり、背面から見るとひし形に見える独特の体型をしている。前胸背板が後方に伸び、腹部背面を覆う点が特徴的である。一年を通して発生が見られ、種数も多いグループだが、生態については不明な点も多く残されている。安定した飼育方法も未だ確立されていないのが現状だ。