Conocephalus sp.
ササキリ sp.
西表島
6月下旬~10月下旬
西表島のリュウキュウチクなどのササ原に生息するササキリ亜科の昆虫である。2022年10月、筆者によって発見されたが、2020年には本種と推定される鳴き声が既に確認されている。それ以前の記録は存在せず、移入種か在来種かは不明である。しかし、周囲の環境に巧みに溶け込み、鳴き声を頼りに探しても発見が困難であること、ササ類への依存性が高く、移動能力が低いと推測されることから、元々生息していたものの、これまで知られていなかった可能性が高い。ササキリ類としては大型の部類に入り、後脚が短いのが特徴である。最も顕著な特徴は、翅と腹部に見られる鮮やかな黄色の模様であり、幼虫期にはこの部分が爽やかな水色をしている。この色彩パターンは日本産ササキリ類の中でも独特で、特に幼虫期の鮮やかな水色は、成長に伴い黄色へと変化していく。この色彩変化が、夕暮れ時の空の色合いや街灯が灯り始める情景を思わせるため、その様子を表す「灯ともし頃」という言葉から、筆者は仮称として「ヒトモシササキリ」と呼んでいる。オスは日中に「ジ、ジ、ジ、ジーーーー」と鳴き声を発する。
成虫の姿
オス
メス
生態写真
ササキリ sp. 亜終齢幼虫
幼虫には緑色型と褐色型がある。背中に目の覚めるような爽やかな水色の帯が2本入るのが特徴。
ササキリ sp. 終齢幼虫
終齢幼虫になると、帯模様の水色が薄くなり白っぽくなる。
ササキリ sp.♂
成虫は緑色型のみを確認している。暗橙色の翅と腹部背面には明るい黄色の筋模様が入り、尾肢には2本の明瞭な棘がある。
ササキリ sp.♀
成虫メス。長翅型がそこそこの割合で出現するが、飛翔能力はあまりないとみられる。
ササキリ sp. の産卵
ササ類の葉鞘に産卵管を挿し込んで卵を産む。一つの葉鞘あたり数個ずつ産卵する。
ササキリ sp. の卵
卵は暗めのオレンジ色で平べったい。葉鞘と茎の隙間に並べられている。