Elimaea yaeyamensis
ヤエヤマオオツユムシ
石垣島・西表島
3月下旬~7月上旬
ヤエヤマオオツユムシは、石垣島と西表島に生息するツユムシ亜科の昆虫で、平地から山地にかけての原生林内や林縁の樹上で見られる。国内で確認されている細身のツユムシ類の中では最大級の大きさであり、青みがかった緑色の体色と、白い斑点のある黒い触角が特徴である。幼虫は冬のまだ寒い時期に孵化し、春から初夏にかけて成虫となる。幼虫は低木の上でもよく見られるが、成虫になるとより高い樹上で生活するようになる。オスは「ジッチョ、ジッチョ…」と大きな声で鳴き、木から木へと頻繁に飛び移るため、地表付近でも観察されることがある。一方、メスは同じ場所に留まっていることが多く、オスを待つ習性があるのか、オスに比べて発見が難しい。日没後約2時間ほどが最も活発な活動時間帯であり、その後は徐々に鳴き声が少なくなり、日没から約3時間後には鳴き声をほとんど聞かなくなる。日中にも鳴くことがあり、威嚇行動の一環としても音を利用していると考えられる。
成虫の姿
オス
メス
生態写真
ヤエヤマオオツユムシ若齢幼虫
人の気配を感じると、脚を伸ばして擬態するような姿勢を見せる。
ヤエヤマオオツユムシ中齢幼虫
セスジツユムシと似ているが、青みがかった体色と触角の白い斑点から見分けられる。
ヤエヤマオオツユムシ亜終齢幼虫
ツユムシの中でも脚が長く細い。そのため跳躍力はほとんどない。
ヤエヤマオオツユムシ終齢幼虫
複眼は美しい水色をしている。夜にはカマキリと同じように黒くなり、暗い環境でも見えるようになる。
ヤエヤマオオツユムシの羽化
脱皮や羽化は天敵の少ない夜に行われる。体液を巡らせて翅を伸ばしているところ。
ヤエヤマオオツユムシ♂
低木に飛来したオス。発生のピーク時には一晩に数匹見ることも可能。
ヤエヤマオオツユムシ♀
メスはあまり動き回らず、木の高い位置にいることが多いようで、見つかることは少ない。