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Locusta migratoria
トノサマバッタ
日本全土
本土 :6月上旬~12月下旬
南西諸島:1年中
トノサマバッタは、その知名度の高さから、多くの人が一度は目にしたことがあるであろう代表的なバッタである。河川敷や空き地など、草丈の低い草原であれば広く生息しており、比較的容易に観察できる。その高い飛翔能力により、生息環境が変化しても、他の地域から飛来して新たな生息地を形成することができる。年に2回発生し、1化目は6月、2化目は9月頃に成虫となる。一般的に私たちが目にするトノサマバッタは「孤独相」と呼ばれる形態であり、これはバッタ同士の密度が低い状態での姿である。しかし、個体密度が高くなると、形態が変化し、移動能力の高い「群生相」へと移行する。この現象は、一部のバッタやイナゴに見られる「相変異」と呼ばれるものであり、群生相は大量の植物を食害しながら長距離を移動する性質を持つため、「蝗害」と呼ばれる甚大な農業被害を引き起こすことがある。アフリカからインドにかけて生息するサバクトビバッタにおいては、その蝗害が特に有名である。トノサマバッタの群生相は、自然状態では稀であり、昆虫館などでの高密度飼育や、食用としての養殖において観察されることが多い。ただし、南西諸島では稀に大発生することも確認されている。 トノサマバッタの生態をより深く理解することで、その驚異的な適応力や、潜在的な脅威について知ることができるだろう。
成虫の姿
オス
メス
生態写真
トノサマバッタ中齢幼虫
緑色型の幼虫。胸部の上縁に明瞭な窪みがあり、クルマバッタやクルマバッタモドキとの識別点になる。
トノサマバッタ中齢幼虫
礫河原には灰白色の個体が見られる。環境的にカワラバッタと間違われやすいが、触角が白っぽいので識別は容易。
トノサマバッタ♀
緑色型のメス。明け方や夕方などの気温が低い時間帯は、動きが鈍くなるので接近しやすい。
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