短翅ササキリモドキ
日本には北海道から沖縄まで、成虫になっても翅が短い、「短翅のササキリモドキ」が多数生息している。飛ぶことができないため移動能力が低く、局所的に分布する種類が多い。その多くは西日本に分布するが、特に四国地方では多様性に富み、山ごとに違う種が生息するほどである。外見はどれもよく似ているため、種を同定するには、まずエリアで大まかに絞り込んでから、オスの腹端にある尾肢と肛上板の形状で見分けると良い。まだまだ発展途上の分野のため、分布や発生時期など、分かっていないことも多い。
【皆様へのお願い】
本ページは、実際の同定方法に沿うように、外見が類似する種をエリアから辿る設計にしています。ただ、ほとんどの種において生態写真が撮れていないのが実情で、情報としては非常に薄いものとなっています。管理人一人で各地に赴くのも骨が折れる上に、完成にいつまでかかるか分かりません。そこで、市民科学の力をお借りすべく、当サイトのポリシーを改め、生態写真を広く募ることとしました。写真をお持ちの方は、謎多きササキリモドキ分野の発展と普及のため、お力添えをいただきたいです。何卒、よろしくお願いいたします。
本土に広く分布
Tettigoniopsis forcipicercus
キタササキリモドキ
東北地方から近畿北部にかけて、本州に広く分布する短翅ササキリモドキ。山地の冷涼なブナ帯に生息し、8月から9月にかけて成虫が発生する。オスの尾肢は単純で、先端が上に曲がるのが特徴。短翅なので飛べないが、灯火に歩いて来ることもある。
Cosmetura fenestrata
コバネササキリモドキ
北海道南部・本州(日本海側)・九州に広く分布する短翅ササキリモドキ。島嶼部では、佐渡島・対馬・隠岐諸島などから見つかっている。8月から10月にかけて成虫が見られる。クロスジコバネササキリモドキと外見が似るが、オスの肛上板の背面突起は小さく、尾肢の内側にある突起も短い。
Cosmetura ficifolia
クロスジコバネササキリモドキ
東北地方から近畿地方にかけて、本州の太平洋側に広く分布する短翅ササキリモドキ。8月から10月に成虫が発生する。コバネササキリモドキとよく似ているが、オスの肛上板は背面の小突起が発達し、尾肢の付け根辺りに内側に向かって突起がある。
中部・近畿地方に分布
Kinkiconocephalopsis matsuurai
スズカササキリモドキ
紀伊半島および鈴鹿山地に分布する短翅ササキリモドキ。ブナ帯に生息し、8月から9月に成虫が見られる。コウヤササキリモドキと似るが、オスの尾肢内側にある突起は幅広く、メスの腹部には各腹節の下側(腹板)に小さな突起がみられる。
WANTED
生態写真を募集中です。ご提供いただける方は、当サイトのTwitter・Facebook・Instagramのいずれかのアカウントまで、個別にご連絡ください。
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Kinkiconocephalopsis koyasanensis
コウヤササキリモドキ
和歌山県、奈良県に分布する短翅のササキリモドキ。ブナ帯や中間温帯林に生息する。8月から9月に成虫が発生する。スズカササキリモドキに似るが、オスの尾肢内側にある突起はやや尖っており、生殖下板には小さな棒状の突起がみられる。また、メスの腹部の下側にある小さな突起は、第1節~第5節のみに存在する。
Tettigoniopsis kongozanensis kongozanensis
ヒトコブササキリモドキ
中部地方および近畿地方で確認されている短翅のササキリモドキ。ブナ帯や中間温帯林に生息する。8月から9月に成虫が発生する。オスの尾肢は単純で下向きに幅のある突起があり、腹部先端の肛上板が後方に突出しているのが特徴。
写真はmidori_yaroo様よりご提供いただきました。
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Tettigoniopsis kongozanensis seppikoensis
セッピコササキリモドキ
兵庫県の雪彦山に生息する。ヒトコブササキリモドキの亜種と考えられている。8月から9月に成虫が発生する。
Tettigoniopsis kongozanensis awajiensis
アワジササキリモドキ
淡路島に分布するヒトコブササキリモドキの亜種。照葉樹林に生息する。肛上板はヒトコブササキリモドキよりも大きく突出し、棒状になっているのが特徴。7月から8月に成虫が発生する。
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Tettigoniopsis kurosawai
ホンシュウフタエササキリモドキ
近畿地方の北部から中国地方の東部にかけて分布する短翅のササキリモドキ。オスの尾肢は単純で、肛上板は縦に折れ曲がる。8月から9月に成虫が発生する。
中国地方に分布
Asymmetricercus suohensis
スオウササキリモドキ
中国地方に分布する短翅のササキリモドキ。ブナ帯に生息する。オスの尾肢は大きく発達し、褐色で非対称。前胸背面には太い褐色の帯が雌雄共通してみられる。
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Tettigoniopsis daisenensis
ダイセンササキリモドキ
中国地方の大山周辺に分布する短翅のササキリモドキ。ブナ帯に生息する。オスは腹部が腹端に向かって徐々に太くなっている他、肛上板が大きく発達し先端が2つに分枝している。7月下旬から8月に成虫が発生する。
Tettigoniopsis hiurai
ハダカササキリモドキ
中国地方および四国中部に分布する短翅のササキリモドキ。ブナ帯および中間温帯林に生息する。オスの尾肢は極めて単純。肛下板には左右両サイドから後方に小さな突起がある。8月から9月に成虫が発生する。
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四国地方に分布
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Shikokuconocephalopsis ishizuchiensis
イシヅチササキリモドキ
四国地方北西部の山地に分布する短翅のササキリモドキ。高標高地のブナ帯に生息する。オスの尾肢は大きく湾曲し、付け根の部分には内側に向かって大きな突起がある。8月に成虫が確認されている。
Shikokuconocephalopsis onigajyoensis
オニササキリモドキ
四国地方の南西部に分布する短翅のササキリモドキ。中間温帯林に生息する。イシヅチササキリモドキに似るが、オスの尾肢の湾曲は緩く、根元の突起も短い。8月に成虫が確認されている。
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Shikokuconocephalopsis shimantoensis
シマントササキリモドキ
四国地方西部に分布する短翅のササキリモドキ。照葉樹林帯を抜けた高標高地の森林部に生息する。オスの尾肢は扁平で、肛上板は平たく発達している。8月に成虫が確認されている。
Tettigoniopsis ehimensis
エヒメフタエササキリモドキ
愛媛県の中北部に分布する短翅のササキリモドキ。中間温帯林に生息する。ホンシュウフタエササキリモドキに似るが、オスの肛上板がより突出し、先端部分で二手に分かれる。8月に成虫が確認されている。
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Tettigoniopsis ashizuriensis
アシズリフタエササキリモドキ
高知県の今ノ山に分布する短翅のササキリモドキ。照葉樹林帯を抜けた森林に生息する。エヒメフタエササキリモドキと極めてよく似ているが、オスの肛上板先端は二手に分かれないのが特徴。8月に成虫が確認されている。愛媛県西海町の低山地からは、エヒメフタエササキリモドキとの中間的な特徴をもつ個体が見つかっている。
Tettigoniopsis uwaensis
ウワササキリモドキ
四国南西部にある鬼ヶ城山や篠山周辺に分布する短翅のササキリモドキ。中間温帯林に生息する。ハダカササキリモドキに似るが、オスの尾肢の付け根付近には小さく鋭い突起がある。8月に成虫が確認されている。
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Tettigoniopsis miyamotoi miyamotoi
シコクササキリモドキ
徳島県の鮎喰川と勝浦川に挟まれた山地と、愛媛県松山市に分布記録がある短翅のササキリモドキ。ブナ帯や中間温帯林に生息する。オスの尾肢の中ほどに小さな突起があり、肛上板は後方に突出して先端で二手に分岐する。7月から8月上旬に成虫が確認されている。
Tettigoniopsis miyamotoi kotsusana
コオツササキリモドキ
徳島県の穴吹川と鮎喰川の間にある山地に分布するシコクササキリモドキの亜種。オスの肛上板はより大きく発達し、尾肢の突起は中間よりも付け根よりにある。7月から8月上旬に成虫が確認されている。
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Tettigoniopsis nyotaiensis
ニョタイササキリモドキ
香川県の矢筈山に分布する短翅のササキリモドキ。中間温帯林に生息する。オスの尾肢には半円形の突起があり、肛上板は後方に突出し先端で二手に分かれる。7月から8月上旬に成虫が確認されている。
Tettigoniopsis tsurugisanensis
ツルギササキリモドキ
徳島県の剣山に分布する短翅のササキリモドキ。照葉樹林帯を抜けた針葉樹林のササ群落に生息する。ニョタイササキリモドキに似るが、肛上板は太く突出しない。8月下旬から9月上旬に成虫が確認されている。
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Tettigoniopsis sanukiensis
サヌキササキリモドキ
四国地方に広く分布する短翅のササキリモドキ。香川県西部、徳島県南西部、愛媛県東部、高知県のほぼ全域で確認されている。生息環境も照葉樹林帯からブナ帯と幅広い。オスの尾肢には付け根付近に鋭い突起があり、肛上板は後方に突出する。7月から8月に成虫が確認されている。
Tettigoniopsis tosaensis
トサササキリモドキ
愛媛県中部、高知県中西部に分布する短翅のササキリモドキ。照葉樹林帯や中間温帯林に生息する。イヨササキリモドキに似るが、オスの尾肢には付け根側に微小な棘があり、中腹に半円形の突起がみられる。肛上板はやや小さい。8月に成虫が確認されている。
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Tettigoniopsis iyoensis
イヨササキリモドキ
石鎚山脈に分布する短翅のササキリモドキ。中間温帯林からブナ帯に生息する。トサササキリモドキに似るが、オスの肛上板は大きく発達し、矢じり状になる。尾肢の付け根には小さな棘がある。7月下旬から8月に成虫が確認されている。
Tettigoniopsis ryomai
テングササキリモドキ
愛媛県の大川嶺や高知県の天狗高原に分布する短翅のササキリモドキ。ブナ帯に生息する。オスの尾肢は内側に向けて直線的。肛上板は先端が左右に分かれY字路のようになる。種小名のryomaiは坂本龍馬より取られた。
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九州地方に分布
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Cosmetura sp.
オオスミコバネササキリモドキ
鹿児島県の大隅半島に分布する短翅のササキリモドキ。オスの尾肢と肛上板はともに黄褐色。尾肢の付け根には後方に向けて小さな棘が生えている。2009年8月に発見された未記載種。
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Tettigoniopsis ehikonoyama
エヒコノササキリモドキ
九州北部の英彦山や脊振山に分布する短翅のササキリモドキ。高標高地のブナ帯に生息する。ミナミササキリモドキに似るが、オスの尾肢は先端部分が内側に湾曲する。8月に成虫が確認されている。
Tettigoniopsis ikezakii
ウンゼンササキリモドキ
佐賀県、長崎県など九州西部に分布する短翅のササキリモドキ。照葉樹林帯に生息する。オスの尾肢は日本のササキリモドキの中で最も複雑で、先端が2本に枝分かれしている。また肛上板も大きく広がる。8月から9月に成虫が確認されている。
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Tettigoniopsis kunisakiensis
クニサキフタエササキリモドキ
国東半島に分布する短翅のササキリモドキ。照葉樹林帯に生息する。アシズリフタエササキリモドキやエヒメフタエササキリモドキと外見が酷似するが、オスの肛上板が後方に長く伸びるのが特徴。8月から9月に成虫が確認されている。
Tettigoniopsis kurodakensis
クロダケササキリモドキ
九重連山・祖母山系に分布する短翅のササキリモドキ。中間温帯林からブナ帯に生息する。オスの肛上板は後方に突出して、先端がY字に分かれる。8月から9月に成虫が確認されている。
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伊豆諸島に分布
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Cosmetura mikuraensis hachijyoensis
ハチジョウコバネササキリモドキ
八丈島に分布する短翅のササキリモドキ。ミクラコバネササキリモドキの亜種。照葉樹林の低木上で見られる。オスの尾肢と肛上板は黄褐色。肛上板の形状は丸く、先端がくぼむ。6月から8月に成虫が確認されている。
Cosmetura mikuraensis mikuraensis
ミクラコバネササキリモドキ
御蔵島に分布する短翅のササキリモドキ。伊豆諸島にみられるCosmetura mikurasensisの基亜種。オスの肛上板はハチジョウコバネササキリモドキよりも発達している。
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Cosmetura mikuraensis toshimaensis
トシマコバネササキリモドキ
利島に分布する短翅のササキリモドキ。ミクラコバネササキリモドキの亜種。
南西諸島に分布
Cosmetura sp.
ヤクシマコバネササキリモドキ
屋久島に分布する短翅のササキリモドキ。山地のスギ林に生息する。オオスミコバネササキリモドキに似るが、オスの肛上板は黒褐色になるのが特徴。7月から8月に成虫が確認されている。未記載種。
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Cosmetura amamiensis
アマミコバネササキリモドキ
奄美大島と沖縄島に分布する短翅のササキリモドキ。照葉樹林に生息する。オスの肛上板は黒褐色で、形状は丸く2つの突起がある。5月から8月に成虫が発生する。