Oxya yezoensis
コバネイナゴ
北海道・本州・四国・九州
7月下旬~12月上旬
イネを食害する害虫として知られるバッタの仲間だが、食性は幅広く様々な植物を食べる。水田や河川敷などでよく見られる。寒さに強く、12月頃まで残っている個体が多い。一時は農薬の影響により激減したが、改良や減農薬のおかげで現在は回復傾向にある。長野県などではハネナガイナゴとともに佃煮にして食される。
コバネイナゴの仲間にはオスの交尾器のわずかな形態の違いから別種とみなされるものがおり、分布が重なる地域では判別が難しい。サイゴクイナゴ、リクチュウイナゴ、ニンポーイナゴ、オガサワライナゴが知られている。その他の近縁種としては、ハネナガイナゴ、コイナゴ、タイワンコバネイナゴ、タイワンハネナガイナゴなどがいる。
成虫の姿
オス
メス
生態写真
コバネイナゴ初齢幼虫
5月下旬頃から孵化し始める。複眼の下に筋のような模様があるが、ツチイナゴは全身に斑点が出るので見分けられる。
コバネイナゴ中齢幼虫
これといって目立った特徴もなく、全身が透明感のある緑色。
コバネイナゴの羽化
発生初期からピークにかけて、羽化が見られるかもしれない。その様子は神秘的で美しい。
近縁種
写真はThe first様よりご提供いただきました。
Oxya japonica
ハネナガイナゴ
水田や湿地などの水辺に近い草地に見られるイナゴの一種。本州~奄美大島に分布する。乾燥した草原にはあまりいない。その名の通り翅が長いことが特徴だが、コバネイナゴには長翅型が知られており、両者はよく似ている。ハネナガイナゴは翅端にかけて幅が広くなることと、メスは腹部に小さな棘状の突起があることで見分けられる。
Oxya intricara
コイナゴ
南西諸島に生息するイナゴの仲間。草原に普通に見られる。側面の帯状の模様は明瞭で黒っぽい。タイワンハネナガイナゴと混生することがあるが、先述の模様に加え、小さいことで区別できる。
Oxya podisma
タイワンコバネイナゴ
奄美大島以南の南西諸島で見られるイナゴの仲間。翅は短くフキバッタのようで、翅端が尖っている。また、後脚の脛節が青い。南西諸島に生息する他のイナゴ類はすべて翅が長いので、判別は難しくない。5月~12月にかけて見られ、1年間に複数回発生する多化性と思われる。
Oxya chinensis
タイワンハネナガイナゴ
トカラ列島以南の南西諸島に生息するイナゴの仲間。明るいイネ科草原に普通に見られる。側面の帯状の模様は色が薄い。コイナゴと混生することがあるが、先述の模様に加え、大きいことで区別できる。