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Patanga japonica
ツチイナゴ
本州・四国・九州・南西諸島
本土 :9月上旬~翌年7月下旬
南西諸島:1年中
クズが繁茂する環境に生息する大型のバッタ。バッタ科では唯一、成虫で越冬するという変わった生態をもつ。9月頃に成虫になると、そのまま冬を越して翌春から繁殖活動を始める。完全に冬眠するわけではなく、暖かい日には日光浴をしたりして過ごしているようだ。南西諸島では周年で発生していて、1年中観察できる。大きさからしばしばトノサマバッタと間違われるが、その姿は似ても似つかない。幼虫は緑色型と褐色型の両方が存在するが、成虫はすべて褐色になり、緑色型は知られていない。脚の吸盤が発達していて、重い体でも難なく植物を登ることができる。複眼に特徴的な筋模様があるが、後ろ半分は不明瞭になる。南西諸島ではタイワンツチイナゴと混生することがあるが、前述の複眼の模様で容易に区別できる。
成虫の姿
オス
メス
生態写真
ツチイナゴ終齢幼虫
幼虫時代は緑色の個体が多い。複眼の下の模様が他のイナゴ類と見分ける識別点になる。
ツチイナゴ♂
越冬前のオス。9月頃から成虫が見られるようになる。
ツチイナゴ♀
春の草原で見かけたメス。腹の先端に卵鞘の一部が付着していたので、産卵を終えたばかりなのだろう。
羽ばたくツチイナゴ
ツチイナゴはじっとしたまま羽ばたくことがある。飛翔筋を動かして体温を上げていると思われる。
近縁種
Patanga succincta
タイワンツチイナゴ
トカラ列島以南の南西諸島に分布するツチイナゴの一種。大型で、日本のバッタとしては最大級の大きさを誇る。ススキなどのイネ科草原に生息し、サトウキビを食害する。年間を通して成虫が見られ、時折大量発生して農業被害をもたらすなどの問題に発展することも。ツチイナゴと混生することがあるが、より大型で光沢が強く、複眼の筋模様が鮮明なことで区別できる。また、後翅の赤みが強い。
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